父の三回忌だった。思い出話は『サビ』みたいなもので、歌っている側は何度でも気持ち良いが聴いてる側との共犯関係はマンネリにしかなく、個人的にはあまり好きではなかった。とは言え亡くなってしまった人間について話せるのは思い出しかない。2年経つとなんとなく話せるような心持になるのか、誰かが故人についてぽろぽろと語り、それを手掛かりとして時系列的に前後のエピソードだとか、別の人だけが知る故人の言葉などが出てくる場になった。 「その人」は、「その人が関係した人間の数」だけ存在するのだと体感する。「その人」は関係した人間がつくる物語に接続され、そのそれぞれに「その人」が回収されたかのように語られることに寂しさを覚える。各人の物語が「その人」によってもう更新されることが無いと分かることが寂しいのだと思う。人間そのものは物語ではないのだと強く感じる。
Sun.22.January.2023
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父の三回忌だった。思い出話は『サビ』みたいなもので、歌っている側は何度でも気持ち良いが聴いてる側との共犯関係はマンネリにしかなく、個人的にはあまり好きではなかった。とは言え亡くなってしまった人間について話せるのは思い出しかない。2年経つとなんとなく話せるような心持になるのか、誰かが故人についてぽろぽろと語り、それを手掛かりとして時系列的に前後のエピソードだとか、別の人だけが知る故人の言葉などが出てくる場になった。 「その人」は、「その人が関係した人間の数」だけ存在するのだと体感する。「その人」は関係した人間がつくる物語に接続され、そのそれぞれに「その人」が回収されたかのように語られることに寂しさを覚える。各人の物語が「その人」によってもう更新されることが無いと分かることが寂しいのだと思う。人間そのものは物語ではないのだと強く感じる。